集いの方法論、あるいはデモと展覧会

同伴分動態 BUGアートセンター

作品を作る人であることと、集まることを作る人であることとを両方抱えている展示だった。あるいは作品を作る只中に入ることと、集まりに参与することについての展示ともいえる。
まず思ったのはデモについてのことだった。デモはデモンストレーションの略称だけれども、そこに含有されている意味は「示威活動」つまりある具体的な対象に正当性を示そうと主張する活動である。それはある種、展覧会という営みに類似しているのではないか。展覧会も、作品を設置した空間において、とあるコンセプトを誰かに対して主張する営みである。そういった位相でデモ活動と展覧会を比較してみると、展覧会はとても回りくどい。対して、デモは極めて明瞭で直接的に思える。ただし、プラカードを掲げながら主張対象へ向かっていくことのラディカルさだけが有効なデモンストレーションなのだろうか。デモ活動の方法論や技術論を拡張し、変形させることで届く声や主張があるのかもしれない。この展覧会では、こういった方法の技術開発を展覧会という位相の側において実践しているように感じられた。
そして、デモ活動と展覧会を繋げる上で、2つの重要な要素がある。それは、「主張の方法」と「集まりの方法」である。これら2つはコミュニケーションという位相において相関関係にある。お互いに会話や身振りを通して主張を共有するといった具合に。その時、異なる主張をただぶつけ合うだけでは単なるカオスになり、主張を互いに強固にしすぎると全体主義に向かう。ゆえに、集まりとしては根本的にはバラバラでありながら、都度互いに主張を共有するような動きが必要である。その動きの技術論は、単にキャッチーなノウハウに集約することが困難であり、その記述は極めて複雑かつ多岐にわたる。しかし、この展示ではその複雑さを丸ごと提示しながらも、都度都度、あるいは部分部分においてそれらをキャッチーに展開してみせていた。勇気をもらえる展示だと思った。

Posted in