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絵を描くという行為はキャンバスや紙に向き合いながら筆を動かすことだけではないといつも思う。絵を描く行為やその技術、および技術開発をもっと生活の営みと地続きなものとして捉える。それは絵を描く身体を生活の体のうちに発見するということだ。だから、絵を描けるようになるのが目的ではなく、絵を描く身体になることが目的であると良い。絵を描く体で世界を捉えようとしてみた時、そこでキャッチした「かたち」は単に良い絵が描けたというだけではなく、いつも使っている言葉や身振りでは現れない、いろんなことが見えてくるんじゃないか。それを共有できる時間があればなお素敵である。このワークショップはそういう考えのもとで行われる。
内容は以下の通り。
①
まず30分程度、周りを散歩してみる。散歩中はおしゃべりをしてもいいし、無言で歩いても良い。散歩中には定期的に宮崎がレクチャーを行い、ゆっくり歩いてみる、遠くの景色と近くの景色を交互に見る、それぞれ違う速度で動いているものを三つ以上視界に入れてみるなどの指示を行う。
このように散歩を通して、自分の身体と他の物とが風景を通してどのように出会い、どのようにみるという経験が立ち上がるのか、風景を成立させるさまざまなリズムの発見から確かめてみる。
②
散歩から帰ってきたら、パウル・クレーの『造形思考』という本に書かれた内容をもとに、絵を描くことにおける点・線・面や部分と全体がどのように機能し、何をもたらすのか、そしてそれは絵画の要素であること以上に日常や生活を作り上げる要素とも重なっているということについて、散歩の際の具体的な経験による話を例に織り交ぜながらレクチャーし、それに合わせて参加者は宮崎の指示に合わせて鉛筆でドローイングする。
③
パウル・クレーのレクチャーが終わったら、散歩の際に出会った風景を成立させるリズムや宮崎のレクチャーをもとに参加者がドローイングを行い、一枚の絵を完成させる。