絵の成り立ちデバイス(インフラを数える)(2023)

Wood device installation
&pastel darwing

Content

絵があるということ、あるいは絵が成立するということの制度やそれを成り立たせる身体的条件に焦点を当てた装置を制作した。
この装置は自立する木製の可動壁であり、日本で平均的に使われている室内ドアの規格に合わせた寸法となっている。
また、この装置には直径8cmの穴が空いており、向こう側を覗くことができる。
この装置は展示中壁の位置や向きが変えられる。そして、設置した場所から穴を除いた先の景色を描いた絵が一枚だけ装置の壁に展示されている。この絵は装置の設置場所を動かすたびに書き直され、展示され直される。
同時に、この装置は野外に設置され、その野外で気づいたインフラ構造を装置の壁裏面にルビを振ってメモをとる。
そのインフラ構造の気づきに合わせて装置を動かし、その位置のカナから見える景色を描く。

Statement

「みること」や「みられること」を考える時、むしろみることとみられることとの共犯関係が成立するための時空の結合点やその交差のことに注目します。
みるということはピントを合わせる行為で、そこではみるものはどんな姿勢をしているだろう。身長は?体重は?
逆に、見られる側はどのように振る舞っているだろう?動いているか静止しているか?
みられる側こそこちら側をみているという可能性を意識できているか?
その姿勢や振る舞いを規定する空間の厚みはどのようなものか?それはどの程度、自身で操作可能で変更可能なものか?そこでの自由とはどのような態度か?
絵はどのように絵になるか?
こうした「みる」「みられる」の結実を仔細に拾って行った結果、そこではもはやことは単純な相互関係ではなくなるはずで、そこにはさまざまな態度が良くも悪くも折りたたまれています。これはその一つ一つの態度を自立的に立ち上げて折衝するための装置です。