2023年がもうすぐ終わる。私は今、実家に帰省をし、紅白をBGM程度につけながらこの文章を書いている。さっき、あのちゃんの「ちゅ、多様性。」を聴いて、あまりにもビート、調、展開、演奏、その全てが相対性理論すぎてもはやパクリの域やんけて思ったら元相対性理論の真部脩一が作曲やった。 …すんません、本家本元でした。
さて、2023年はあまりにも最高速度で数多を駆け抜けた一年だった。とても全部を振り返れる気がしない。一月は、博士論文を提出して解放されたかと思った束の間、迫る修了展。作品は何一つできていない。そして用意された巨大空間。さらに、同時に迫る大学の誌面に掲載する論文の締め切り。しかし、博士論文を乗り越えた私にとってそれは些細なことも同義であって、ひたすら毎日制作をしながら、論文執筆のために博士論文で奇しくも書ききれなかったメルロ=ポンティ論をまとめつつ、『眼と精神』を中心に主要書籍をひたすら精読。博士論文に間に合わなかったとはいえ、12月までにかなりまとめていた過去の自分のおかげもあって、執筆は1週間で一通り描き切った(その合間にも金沢市民芸術村での仕事を並行してやっていた)。
二月は修了展と同時に博士の学位審査。金沢美術工芸大学では他大学では見られない、学位審査の口頭試問を全て文字起こしし、公開するという制度があるため、詳しくはそちらを見てください→口頭試問
外部審査員は秋田大学の小倉拓也さんにお願いすることになった。文字起こしがあることによって、良くも、そして奇しくも振り返って確認することができてしまう。これを書くにあたってあらためて口頭試問を読み返すと、小倉さんが聴いてることに対して全然返せていない。今ならこう言うかな、という考えが浮かぶ。悔しさにも似た羞恥心が込み上げるが、振り返ることができるからこそ、まさに差分として当時の自分と今の自分を重ねたり、引き裂いたり、それを絡ませたりすることができる。それは、弁証法とはまた違う、「より良い」への向かい方だ。
やばい、一個一個振り返って行ったらきりがない、もう新年を迎えてしまう。せっかく書くなら読み手にとって面白い要素を盛り込みたいみたいな、そういった打算のせいで全然進まない。でも、この振り返りはまずもって自分にとってのものだ。今年起こったことはひとつひとつ言葉に残したいと今の自分が思っているのだから、気にせずタラタラ書いていこう。二月は審査の他には、金沢美大油画専攻の助手に落ちてどうしていこうと思っていた。落ちたのはいいんだけれど、二月なんてもうなんの求人も残ってないんだから、二月に結果出すなんて残酷すぎひん?絶望の中、三月も下旬に差し掛かった頃、工業高校デザイン科の非常勤講師をしないかとの連絡。もう他に当てがなかったから、詳しい内容を聞かずに即答。二日後に面談をしてどうやら実習や美術の授業ができるような話を聴いて安堵するが、4月8日、蓋を開けてみれば美術の授業はひとつもなく、ゴリゴリの製図と座学を教えることになった。こうして大学卒業一年目を必死の勉強漬けで迎えたのである(これがまた勉強が大変な上に生徒との接し方に悩んで4,5月はずっと鬱気味だった)。
やばい、ほんまにやばい、あと30分で年越ししちゃう。もう箇条書きに近くてもいいから起こったことを描いていこう。
あまりにも学校がストレスで、4.5月は毎日家でずっと治癒するように絵を描いていた。6月は芸宿10周年イベントを足立雄介君と企画し、私は金沢美大彫刻科の福士りささんの個展と、ケルベロス・セオリーのプロジェクト&展示をメインで行った。ケルベロス・セオリーのお二人は快く企画を引き受けてくださって、金沢の中にコロナ以前まで続くホモソーシャルなコミュニケーションとは別の回路をトーク、展示、ワークショップで検討するものだった。それが翻って私自身も金沢でのコミュニケーションそのものを相対化するきっかけにすることができたと思う。
ああもうだめだ。間に合わん。とりあえず年が明けてから書き足すから描きたい項目箇条書きしてとりあえず終わりますね。すんません….
6月の愛知県での展示。
7月は石川県問屋町で行った個展。
10月は原っぱ運動会、SEASON 2。
11月はレトロニムキュレーションのビジター・キュー、箔一ビルでの個展。
ふう….とにかく、今年はいろんな方々と関わり、出会い、それが乱反射するように紡がれる年だったように思う。人に感謝するばかり。と同時に、今年は金沢にさまざまな場所を作ることで動きを作ろうと奔走し、それを個人の県外の仕事にまで波及させつつ、自身の活動も行っていたような感覚がある。そのおかげでできた仕事がたくさんあった。本当に感謝をしても仕切れない。
それを踏まえて、来年は28歳。もう30代を目前にして、今自分が考えてること、制作のアイデア、そして技術をゆっくり丁寧に膨らませながら結実させる一年にしたいと思う。平たくいえば自分のことに集中しようってことやね。
だから来年は今勤めている金沢市民芸術村や高校の非常勤を辞める。よって完全無職。どうなることやら….。でも今年作った場や作品によって掴めそうなテーマや形をじっくり膨らませるための材料がたくさん手に入ったから、とても前向きな気持ち。お金は最悪なんとかなるやろ。
それじゃあまた来年もよろしゅうお頼もうします。ほな!!
2023年なんか振り返っちゃったりして
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